この記事は、運営者が自分の家庭で試してきたことを書いたものです。栄養や発達の専門的な助言ではありません。体重が増えない、食べられるものが極端に少ない、飲み込みにむせるといった心配があるときは、この記事の内容より先に、かかりつけの医療機関や自治体の相談窓口へご相談ください。

食事の時間が一日のなかで一番しんどい時期がありました。せっかく作ったものを食べない、決まったものしか口に入れない、席を立つ、遊び始める。こちらは「食べてほしい」「野菜も食べてほしい」「座って食べてほしい」を全部同時に言っていて、結果として食事のあいだずっと注意している状態になっていました。

うまくいくようになったきっかけは、内容を変えたことではなく、直す順番を決めたことでした。

三つを同時に直そうとして失敗した

振り返ると、私は次の三つを一度に求めていました。

  • ちゃんと食べること(量)
  • 好き嫌いなく食べること(内容)
  • 座って正しく食べること(マナー)

三つ同時に言われた子どもの側から見ると、食卓は注意されるだけの場所です。実際、注意が増えた時期は、食べる量そのものが減りました。食事が嫌な時間になると、量も内容もマナーも全部悪くなるという悪循環に入っていたと思います。

そこで、順番を決めました。

順番取り組むことこの段階で言わないこと
1まず食べる習慣をつける好き嫌い、食べ方
2少しずつ食べられるものを増やす食べ方の細かい注意
3食べるときのマナーを整える

前の段階が安定していないうちに次へ進まない、というのを自分のルールにしました。

第一段階:まず「食べる習慣」だけを作る

最初の段階では、内容も食べ方も問わないことにしました。目標は「決まった時間に席に来て、口に何か入れる」だけです。

具体的にやったこと。

  • 好きなものを一品は必ず出す
  • 遊びながら、テレビを見ながらでも、食べているなら止めない
  • 量は本人が決める。減らして出して、足りなければ足す
  • 食べなかったものを責めない、片付けるときも何も言わない
  • 食事の時間を決めて、それ以外の時間の間食は減らす

「ながらでもいい」と決めたのは、それがよいと思ったからではありません。この段階で同時にマナーまで求めると、食卓に来なくなると分かったからです。順番を守るために、意図的にいったん見逃す、という判断でした。

この段階では、こちらが食事中に何も注意しないので、親も楽になります。それも続けるうえで大きかった点です。

第二段階:食べられるものを少しずつ増やす

席に来て食べる、という状態が安定してから、内容に手をつけました。ここでも一気には進めませんでした。

  • 食べられるものの隣に、新しいものを少量だけ置く
  • 食べなくても構わない。同じものを何回も出す
  • 味を変えて出してみる(同じ野菜でも形と味で反応が違う)
  • 「一口だけ」を強制しない
  • 食べたときだけ大きく褒めるのをやめる(食べないと褒められない、になるため)

同じものを何度も出していると、あるとき手が出ることがあります。一回食べたからといって次も食べるわけではないので、そこは期待しないようにしました。「今日は食べなかった」を失敗として数えないのが、続けるコツだと思います。

こども家庭庁の保育所における食事の提供ガイドラインは、保育所向けの資料で家庭の献立を指示するものではありませんが、食事を「楽しく食べる経験」として捉える考え方が示されています。家庭でも、完食させることより、食卓が嫌な場所にならないことを先に置いていいのだと思えました。

第三段階:マナーを整える

食べる習慣があり、食べられるものがある程度増えてから、ようやく食べ方に取り組みました。この段階に来ると、こちらの言うことが通りやすくなっています。食事が嫌な時間ではなくなっているからだと思います。

進め方は、一度に全部ではなく一つずつです。

  • 座って食べる
  • 食べ終わるまで席にいる(時間は短めに設定する)
  • 「ごちそうさま」を言ってから立つ
  • 食器を運ぶ
  • 遊びながら食べるのをやめる

「ながら食べ」をやめるのを最後に持ってきたのは、第一段階でこちらが許可したことなので、順番として最後になるという理由です。第一段階で許したことを第二段階で急に禁止すると、子どもから見れば話が違う、ということになります。

この順番にしてよかったこと

一番大きかったのは、親が食事中に注意する回数が激減したことです。段階ごとに「今は言わない」ことが決まっているので、迷わなくなりました。

食事の悩みは、量・内容・マナーが混ざるほど、何から手をつけるか分からなくなります。三つを分けて、順番を決めるだけで、その日にやることが一つに絞れます。

ただし、これは我が家の一例です。もともとよく食べる子なら第一段階は不要ですし、感覚の特性から特定の食感を強く受けつけない場合は、順番を踏んでも変わらないことがあります。うまくいかないときに、家庭の努力が足りないと考えないでください。

専門の窓口へ相談したほうがよいとき

次のような場合は、家庭での工夫の範囲を超えています。早めに相談してください。

  • 体重が増えない、または減っている
  • 食べられるものが極端に少なく、種類が減り続けている
  • 飲み込みにむせる、吐くことが続く
  • 食事のたびに強い苦痛を示す
  • 保護者が食事の時間に強い不安や落ち込みを感じている

かかりつけの小児科、自治体の乳幼児健診、保健センターの栄養相談などが窓口になります。園に通っているなら、園での食事の様子を聞くと、家庭だけの問題かどうかが分かります。

今日の次の一歩

まず、今の悩みが「量」「内容」「マナー」のどれなのかを一つに決めてください。三つ全部が気になるなら、量から始めます。そして、残りの二つについては、今日は何も言わないと決めてください。それだけで食卓の空気が変わります。

生活のなかで親の負担が積み上がっているときは、食事だけを頑張らない選択もあります。親が休むために外の人へ頼る選択肢も参考にしてください。子どもへの伝え方そのものを見直したいときは、子どもが言うことを聞かないときの見分け方に、我が家での考え方を書いています。

参考資料