この記事は、運営者が自分の家庭で迷いながら試してきたことを書いたものです。専門家の指導ではなく、一つの家庭の例として読んでください。効果を保証するものではありません。
「何度言っても聞かない」と感じる時期がありました。声を大きくすれば一瞬は動くけれど、次の日にはまた同じことになる。うまくいく日と、まったく通じない日の差も大きい。しつけの方法を探しては試して、続かない、ということを繰り返していました。
結論から言うと、方法を探すより先に、その子がどのタイプかを見分けた方が早かったというのが、今のところの実感です。
同じ声かけが効く子と効かない子がいる
言うことを聞かない、という状態はひとくくりにできません。同じ言い方が、ある子にはすっと通り、別の子にはまったく通らないことがあります。周りの家庭でうまくいっている方法が自分の家で通じなくても、親のやり方が悪いとは限りません。
まず数日、次のような場面で反応を見てみてください。
- 「だめ」とだけ言ったとき、止まるか、余計にやるか
- 「なぜだめか」を説明したとき、聞く姿勢になるか、話をさえぎるか
- 急かされたとき、切り替えられるか、固まるか
- 選択肢を出したとき、自分で選ぼうとするか
- 強く言われた後、しばらく引きずるか、すぐ戻るか
我が家の場合、「だめ」だけでは反発が強くなり、理由を話したときの方が明らかに聞く姿勢になりました。理由に納得すれば動くけれど、納得していないことは力では動かないタイプだと分かってから、対応が楽になりました。
納得したら動く子に、無理やりは逆効果だった
このタイプに対して、力で押し切ろうとするのは、うまくいきませんでした。その場は止まっても、次に同じ場面が来たときに、前より強く抵抗するようになる。押した分だけ返ってくる感覚がありました。
代わりに効いたのは、理由とセットで、しつこく話し続けることでした。
- 一度で伝わることを期待しない
- 同じことを、同じ理由で、何度も繰り返す
- 「だめだから」ではなく「こうなると困るから」と言う
- 命令ではなく、判断材料を渡すつもりで話す
一回で伝わることはほとんどありません。ただ、同じ理由を繰り返していると、あるとき本人の口から同じ理由が出てくることがあります。そこまで来ると、言わなくても動くようになりました。時間はかかりますが、この子には遠回りに見えて一番早い道でした。
親がずっとは付き合えない、という前提を持つ
ただし、これには大きな問題があります。しつこく理由を説明し続けるのは、親の体力と気力をかなり使います。
余裕のある日はできます。でも、仕事の後、寝かしつけの前、下の準備が終わっていない時間帯に、同じことを丁寧に何度も説明し続けるのは無理でした。無理をして続けると、こちらの表情や声が先に限界を迎えます。
なので、最初から「いつでも丁寧にやる」を目標にしないことにしました。
| 親の状態 | 取る対応 |
|---|---|
| 余裕がある | 理由を添えて、時間をかけて話す |
| 少し疲れている | 理由は短く一言だけ、選択肢を二つ出す |
| 限界が近い | 強めに一度だけ言って終わりにする、または距離を置く |
| 何も出てこない | その場を離れて、安全だけ確保する |
丁寧な対応ができる日を増やすには、丁寧にできない日を認めておくことが必要でした。全部の場面で理想の対応をしようとすると、続きません。
強く言った日、距離を置いた日をどう考えるか
強く言ってしまった日や、いったん離れた日を、失敗だとは考えないようにしています。
親がいつも穏やかで、いつでも説明してくれる存在だと、子どもは「相手にも限界がある」という情報を得られません。強く言われた、少し距離を置かれた、という経験からも、子どもは学んでいると感じます。相手の状態を見る、引き際を知る、というのは、家の外でも必要になることです。
大事なのは、その後だと思っています。
- 落ち着いたら、強く言ったこと自体は謝る
- ただし、言った内容が正しかったなら、内容は取り消さない
- 「疲れていた」と正直に言う
- 次に同じ場面が来たとき、また普通に関わる
謝ることと、要求を引っ込めることは別です。ここを混ぜると、強く言えば親が折れる、という別の学習になってしまいます。
ここだけは分けている二つのこと
家庭での試行錯誤の範囲と、そうでないことは分けています。
一つめは、危険な場面です。 道路へ飛び出す、熱いものに触ろうとする、高い所から落ちそうになる、といった場面では、理由の説明を先にしません。まず体を止めて、安全を確保してから話します。納得を待っている時間がない場面がある、というのは前提として置いています。
二つめは、体罰です。 どれだけ疲れていても、叩くことは選択肢に入れていません。2019年の児童福祉法等の改正により、保護者による体罰は法律で禁止され、2020年4月から施行されています。こども家庭庁の体罰等によらない子育てのためにに、体罰にあたる行為の例や、追い詰められたときの相談先がまとめられています。
強く言うことと、叩くことは違います。前者は加減できますが、後者は線を越えたら戻れません。
親の側が限界のときは、外に頼っていい
このやり方は、親に余裕があることが前提になっています。余裕がない状態が続いているなら、伝え方を工夫するより先に、休む時間を作る方が効きます。
こども家庭庁の幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョンも、こどもの育ちを家庭だけで支えるものとして扱っていません。園、一時預かり、地域の子育て支援など、外に頼る方法は親が休むために外の人へ頼る選択肢で整理しています。
今日の次の一歩
まず数日、「だめ」とだけ言った場合と、理由を添えた場合で、反応がどう違うかだけを見てみてください。違いがはっきり出るなら、その子は納得してから動くタイプかもしれません。
場面ごとの伝え方を整理したいときは、伝え方診断で、状況と子どもの反応から具体的な声かけを絞り込めます。回答は保存も送信もされません。
言うことを聞かない状態が、園や習い事など特定の場所だけで強く出ている場合は、伝え方の問題ではなく環境が合っていない可能性もあります。その場合は習い事を嫌がるときの休む・やめる判断も参考にしてください。